モヘア

 そういえば今年はうさぎ年なんだっけ。←今ごろ?

 え?だから「うさぎのぴょん」じゃないのかって?
 いえいえ、この名前はもう何十年も前から使っているもので、でも頻度は少ないので今回のタイトルにしたのだ。

 昔、うさぎを飼っていた。
 まだ結婚前だった相方(でも同棲中)が露店で買ってくれたのだ。
 その頃新宿や吉祥寺の道端で簡単な台に乗せられたうさぎが売られていた。
 「大きくならないミニうさぎ」と銘打った彼らは片手に乗るくらい小さかった。もちろん大きくならないわけはない。それを承知で購入した。
 今ならキチンとした店舗から買うだろうが、当時うさぎを売っているお店はほとんどなかったのだ。
 茶色い毛のその子は「モヘア」と名付けられ、とりあえずのダンボール生活が始まった。

 ぴょんは昼間はほとんどいなかったがモヘアはおとなしく待っていた。
 最初からベタ慣れの子で、一緒にコタツに入るのが好きだった。もっとも小さいので中に入るのではなく、ぴょんの膝の上か座布団の上に寝てお尻だけコタツに入る状態だった。

 ある日、コタツで寝ていたモヘアがピクッと起き上がり猛ダッシュで部屋の隅に走り、物陰からそっとこちらを窺うように丸い目を向けてきた。
「K(相方の名)、モヘアを蹴った?」「そんな事しないよ」に、ふと布団をめくってみると・・・そこには小さなシミが。
 そう、間に合わなかったのだ。
 こういう時はすぐに叱った方がいいのでモヘアの鼻をシミに押し付けて「いけない」と教えた。
 その翌日だったか、いつもおとなしいモヘアがしきりにカリカリしている。覗くとぴょんの顔を見て、またゲージの隅に目を向け、そしてぴょんを見る─を繰り返した。
 そこはトイレの場所でモヘアは「今度はそこでしたよ」と自慢していたのだ。
 もちろんたっぷりと褒めてやった。本当に頭が良く可愛い子だった。

 その子が突然元気がなくなった。ぐったりとしエサも食べない。 いつもはしっかりとしがみついてくる両手にも力はなく、抱えるぴょんの手の中で動こうとはしない。パニックになりどうしていいのかわからなかった。
 すぐ後に帰宅した相方が泣いているぴょんにびっくりして、すぐさま近くの動物病院に連れて行った。
 モヘアは入院となった。

 翌日、冷たくなったモヘアを1人迎えに行った。
 モヘアは一晩中酸素吸入をしたが一度も目が覚める事はなかったそうだ。

 何が原因だったのかわからない。ぴょんの知識不足だったのかもしれない。
 罪悪感とショックで・・・だが日常は止まってくれない。
 仕事をしている時はまだしも、ふとモヘアの事を思い出すと涙が溢れて止まらなくなり同僚をあわてさせた。
 その頃ぴょんは東京の目黒駅の近くに勤めていたが、新宿方面に帰らなければいけないのにボォとしてて何回反対方向の電車に乗ってしまっただろう。
 その事にまったく気付かず品川辺りでハッと我れに帰るのだ。よく事故に遭わなかったと思う。

 それからしばらくは動物のいない日々が続いた。
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